ウナギの稚魚、北海道に到達確率約20倍?

海洋研究開発機構と東京大、北海道大の研究チームは「ニホンウナギ」の稚魚で、主に本州以南で育つシラスウナギが、北海道の河川への来遊が近年、大幅に増えた可能性があると発表しました。

地球温暖化に伴う海流の変化が主な原因と見られて、南から流れる黒潮が、地球温暖化で北上したことが影響してるとのことです。ウナギの資源保護に向けて、今後、北海道での生育状況を調査する計画です。

東大など研究チーム

シラスウナギの体長は5~6センチ。マリアナ諸島西方の海域で卵から孵化(ふか)した幼生は、黒潮に乗って冬から春先ごろにかけて日本や台湾、中国沿岸の河口に到達します。

これまでシラスウナギの捕獲記録は青森県が北限でしたが、研究チームは2021年4~7月に北海道胆振地方の河川を調査し、シラスウナギを確認しました。


こうした状況を受けて、研究チームは稚魚が千島列島に沿って南下する親潮の海流データなどを用いて日本近海のシラスウナギの動きをシミュレーションを行いました。

スーパーコンピューターを使って台湾沖を起点に、ニホンヴナギの幼生に見立てた粒子が、どのように北上していくかを、計算しました。海流など海洋環境のデータに加えて、幼生の遊泳行動のパターンなども考慮しました。

その結果、2023年までの10年間では、2003年までの10年間と比べ、北海道の太平洋沿岸の河川に到達したシラスウナギが増加したとみられることが分かりました。(つまり、1994年~2003年に比べて、20年後の2014~2023年は、北海道に稚魚が到達する確率が約20倍になったと推定されたというのです。)

さらに、道内の胆振・日高地方で多くなった一方、四国や九州では減少していたというのです。

研究チームは地球温暖化の影響で、暖かい黒潮と黒潮統流が北上したことなどにより、ウナギの幼生がより高緯度へと運ばれやすくなったとみています。

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